ニュース 2020.09.10

SBI北尾社長「大阪・神戸を国際金融都市に」デジタル証券取引所も設立

SBIホールディングス(以下SBI)の北尾吉孝社長は9月2日、日本経済新聞の取材に対し「大阪・神戸の国際金融都市構想」を語りました。ブロックチェーン技術を基礎としたデジタル証券取引所を同エリアに開設し、フィンテック企業の誘致にも乗り出します。今後SBIが出資する企業には日本の拠点を大阪・神戸に置くことを条件にするとのこと。また香港国家安全維持法が施行されたことを受けて「日本の都市が国際金融センターの地位を獲得する最後のチャンス」と話しました。

中国国内や東アジアに香港を撤退した企業の受け皿になるような都市がまだないため、大阪・神戸がその代替になる都市として機会を狙う考えです。

海外の金融関係者が日本の金融を敬遠する一番の理由は税金です。この問題を解決するため税制やビザ取得面での緩和の実現を目指すことになりますが、国際金融センターの誕生にはこれまでの日本にはない、さらなる国家戦略特区が必要になります。特区内で創業した企業の税制支援や煩雑なビザ手続きの緩和はもちろん、世界でもトップに入る日本の所得税の最高額を45.95%から香港並みの20%までに減税することが必要不可欠だと言われています。

なぜ大阪・神戸なのか

日本がこれから国際金融センターとして発展するには、上記のようにこれまでにない国家戦略特区を作り香港並みの所得税率にすることが必須の条件。そのため東京よりも大阪・神戸の方が「国家戦略特区」を作りやすく、一から自由な都市構想を産み出せるとの考えだと思われます。

これまでも東京における国際金融都市構想が議題に上がってきましたが、金融業界や不動産業界の利益を優先する姿勢によって具体的な目処が立たず、政府を巻き込むことができなかったため実現には至っていません

鍵は政府や自治体

北尾社長は経済活動の舞台を地方に広げる分散型社会づくりを推進すると表明しており、8月上旬には大阪府知事の吉村洋文氏と面会して金融都市構想を話し、吉村氏から大賛成の意向を伝えられたとのこと。また、自民党総裁選に立候補している菅義偉官房長官も東京以外での金融センター構想を支持していると話しました。

またSBIは8月の決算会見で、STO市場の拡大を目指したセカンダリーマーケットの整備に向けてセキュリティトークンを取扱うPTS(私設取引システム)設立の検討を始めたと発表しています。また北尾社長はセキュリティトークンの普及を啓蒙する自主規制団体「日本STO協会」の代表も務めています。

このように日本国内のデジタル金融業界を牽引しているSBIの国際金融都市構想。政府がこの流れを逃さずに大胆な政策を打ち出せば、本当に近い将来に日本国内に国際金融センターが誕生するかもしれません。

情報元:
日経:SBI、「大阪・神戸を国際金融都市に」

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

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