ニュース 2020.10.12

アメリカ初のセキュリティトークンによるIPO、最低調達額を突破 !金融界の新たな潮流へ

アメリカの企業INX Limited(アイエヌエックス・リミテッド/以下INX)が、アメリカでは初となるSTO(セキュリティートークン・オファリング)によるIPO(新規株式公開による資金調達)を行い、SEC(米証券取引委員会)に課せられていた最低調達額750万ドル(約8億円)を突破したことを発表しました。
この最低調達額は、プラットフォームの開発や仮想通貨の受け入れを行うための最低要件として設定されていたものです。今回の資金調達が成功した場合、INXは米国有数の上場仮想通貨関連企業となる見込みです。

先陣を切ったINXの施策

 INXが提供したトークンの価格は1トークンあたり0.9ドル、最低投資額は1,000ドルです。これは現在の日本円にして10万5千円ほどの額です。今回のINXのトークンオファリングでは、開始3日間で3千人以上の個人投資家および認定投資家が購入登録をしました。極めて短期間でこの投資額が集まったということは、条件は厳しくも健全性の高いSTOを投資者や市場が評価し、またその発展を期待している結果なのではないでしょうか?

また、今回SECが設定した最低調達額を突破したことで、INXはさまざまな種類のデジタル資産を取り扱うプラットフォームの立ち上げを進めていくようです。それにより、今後ますます仮想通貨による取引や資金調達が市場に浸透していくことが予想されます。

そして、一般の人々は、仮想通貨によるINXトークンの購入および保有が可能となりました。INXトークンの保有者には、INXの営業活動によるキャッシュフローの40%という高率の比例配分を受け取る権利や、同社の取引プラットフォームでの決済にINXトークンを使用した場合の取引手数料が割引になるなどのインセンティブがあります。これらも、投資者たちの参加意欲を高めるひとつの要素となるでしょう。

わたしたちの生活にはどういう関係があるの?

今回のINXのトピックスやビットコイン関連の詐欺事件など、良くも悪くも私たちの身近なところまで仮想通貨のニュースが届くようになってきています。手元に残る現金とは違い、あくまでも「情報」として存在する仮想通貨に対し、「自分の生活には関係ない」「不確実なものには手を出さないのが安心」という考えを抱く方もいらっしゃるかもしれません。しかし今、ほんの十数年前までは考えられなかった電子マネーを日常的に利用している方も多いのではないでしょうか?電子マネーも、大枠で考えると仮想通貨と同じデジタル通貨です。このように、一見すると私たちの生活に無関係に見える新たなテクノロジーやシステムの発展は、いつの日か生活と切り離せない存在となり得るのです。

今年1月にはすでにスイスでもトークン化した株式によるIPOが規制当局にて承認されており、また日本では、2020年5月の改正金融商品取引法施行により、STOに関するルールが明確化されます。黎明期となる今、これまでよりもほんの少しだけ身近な話題として捉えてみてはいかがでしょうか。

情報元:
・米国初のセキュリティトークンによるIPO、最低調達額を突破-COIN POST
・セキュリティトークンとは・STOとは何か?-coindesk JAPAN
・STOのメリット・デメリット-STOnline
・STO・ICO・IPOの違いについて-STOnline
・STOとは?ICOとの違いも交えて解説-Crypto Times
・2020年注目のSTO。新たな資金調達手段として確立するか-Deloitte.
・STOのルール明確化で金融商品開発にはずみ-The Finance

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

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