ニュース 2020.08.24

ドイツ、ブロックチェーンを利用して証券デジタル化へ

8月11日、ドイツ連邦財務省は、ブロックチェーンを活用して証券をデジタル化する法案を発表しました。

ドイツの「ブロックチェーン戦略」の中核になると言われるこの法案の重要性を理解するため、法案の内容の前に、少しだけ背景をご説明します。

現在、Facebookが出資していることで有名な「リブラ」という仮想通貨の発行が発表されています。世界の金融インフラ整備を目的としたリブラは、グローバルかつ価格が変動しにくい通貨を目指しており、これまで中央銀行が管理してきた金融政策に取って代わる脅威となりうる存在です。リブラに対抗し、かつ、現代に合った金融市場を構築するため、ドイツ政府は「ブロックチェーン戦略」を発表しています。

今回の証券デジタル化法案に先駆けて、銀行法が改正されました。連邦金融監督(BaFin)、日本でいえば金融庁が規制当局となって、仮想通貨の保管や管理を一つの金融サービスとしてライセンス化。サービスを提供するために、ライセンス取得を義務付けたのです。銀行がこのライセンスを取得することで、仮想通貨の保管や管理ができるようになります。この改正からも、仮想通貨を独り歩きさせず、銀行の役割を守ろうとする姿勢が伺えますね。

では、今回の証券デジタル化法案、具体的にはどんな内容なのでしょうか?

・ブロックチェーン技術を利用して、証券をデジタル化すること

現在のドイツの証券法では、有価証券を紙の証書で発行することが義務付けられています。なぜなら、紙の証券の方が、消費者保護の観点で安全性が高いとされてきたからです。

しかし、デジタル化がすすむ社会においては、証券を電子化することでより素早い取引が求められています。そこで、ブロックチェーン技術を活かし電子証券の所有権を法的に保証することで、安全かつ機能的なデジタル証券を実現しようとしているのがこの法案です。最新技術に合わせて法案を整備することで、投資家を保護しながら金融市場の流動性を保ち、「ビジネスの拠点であるドイツ」を維持することができます。

今回、連邦財務省と連邦司法・消費者保護省が共同で草案を作成していることからも、安全性の問題も重視していることが伺えますね。

・規制を明確化すること

この法案には、証券のデジタル化に伴う規制事項も含まれています。例えば、最たるものでは、銀行法改正の話にも出てきたBaFinが分散型台帳の発行と維持を監督する規制機関になることが定められています。

この法案が施行されれば、先に紹介した銀行法と合わせてドイツの「ブロックチェーン戦略」が大きく前進しそうです。日本でも証券のデジタル化が進んでいますので、今後の動向からも目が離せませんね。

関連リンク:ドイツ財務省、ブロックチェーンで「証券デジタル化」する法案を発表
参照:ドイツ、ブロックチェーンの国家戦略 ── ステーブルコインは制限
写真:photoAC

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

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