ニュース 2020.08.31

米国初のセキュリティトークンIPO|安全性を追求する形で実施へ

INX Limitedは8月20日、INXセキュリティトークン(以下INXトークン)のIPOについて米国証券取引委員会(以下SEC)に提出した申請が有効になったことを発表しました。これにより、INXトークンはSECに登録されてオファリングが行われる米国初のセキュリティトークンとなりました。

これまでStacksトークンやPropsトークンなどがSECの承認を獲得してきましたが、これらはいずれもユーザーがサービスを利用するために保有するユーティリティトークンでした。セキュリティトークンは外部の資産からその価値を付与される有価証券の役割を持ち、これを保有することはより投資としての面が強くなります。

今回売り出されるINXトークン(ERC20)の数は最大1億3,000万個。1単位は0.90ドル(約95円)で、最低投資額は1,000ドルからです。1億1700ドル(約123億円)の大規模な資金調達となる予定で、販売は25日から始まっています。

INXは、今回の募集におけるINXトークンの売却により調達した純収益の一部を、暗号通貨、セキュリティトークン、さらにそれらのデリバティブを含むブロックチェーン資産の取引のための規制ソリューションであるINX Trading Solutionsの継続的な開発と運営に充てるとしています。また、流通しているトークンの数を調整して希少性を安定させるための現金準備寄金の設立にも使用する予定です。

INXのWebサイトによると、このINX Trading Solutionsは機関投資家と個人投資家の両方を対象とした取引サービスで、セキュリティトークンと暗号通貨の両方を扱うことができるプラットフォームを目指して開発が進められています。INXトークン保有者にはキャッシュフローの40%と、INXの取引サービスで10%以上の割引を受けることができるプランが用意されています。

投資家から集められた資金は、定められた最低販売額に達するまでSECが指定した第三者銀行のエスクロー(保全取引)口座で一旦保管されます。365日後の期日までに最低額に達しなかった場合はトークンの売却は不成立になり、すべての金額がペナルティなしで投資家に返金されます。

このようにセキュリティ面に考慮して計画が進められているINXは、2017年に証券法をほとんど考慮せずに始まった複数のICOの波をより安全性を求めた形で追ったものだとしています。

今回のIPOが成功すれば、米国におけるSTO(セキュリティトークンによる取引)への本格的な道筋が見えてきたと言えるでしょう。

情報元:
 INX Limited Announces Launch of Security Token IPO
米国証券取引委員会(SEC)に登録されたINXの概要

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

LATEST POSTS

RANKING