ニュース 2020.10.19

イギリスの大手株式投資型クラウドファンディングCrowdcubeとSeedrsが合併へ

株式投資型クラウドファンディングの先進国であるイギリスにおいて、今回、ともにIPO輩出事例を持つ株式投資型クラウドファンディング大手のCrowdcube(クラウドキューブ)とSeedrs(シーダーズ)が合併に合意したと発表されました。

Crowdcubeとは

Webサイト:https://www.crowdcube.com/

・イギリスで最初に設立された、イギリス最大級の株式投資型クラウドファンディング
・目標額を下回ると不成立となる「all or nothing」モデルを採用
・英国で設立された企業のみ募集可
・著名企業の参加事例も

Seedrsとは

Webサイト:https://www.seedrs.com/

・実質初のIPO事例を出した、大手の株式投資型クラウドファンディング
・株式を再譲渡できるセカンダリー市場がある
・株主名義がSeedrsで、再譲渡に有利

合併の背景

ヨーロッパの国々が株式投資型クラウドファンディングへの投資に規制を行っているのに対し、イギリスでは自己申告制で投資ができるなど、門戸を広く開放しています。その結果、EU加盟国全体の起業家から注目を集め、ここ10年でイギリスの株式投資型クラウドファンディング市場は大きく成長しました。

今までも2社の合併案は出ていたそうですが、今回合意に至ったのは、やはりイギリスのEU離脱が影響したと考えられます。イギリス国内市場には規模の限界があるため、国内の基盤を固めるとともに、今後の海外展開を見据えたうえでの合併でしょう。

また、Seedrs設立者の一人、Jeff Lynn(ジェフ リン)氏は「市場は新型コロナウイルスの蔓延下でも比較的堅調」と語っているそうですが、イギリスは日本やアメリカ以上にコロナウイルスでの経済的打撃を受けています。雇用対策が終わる2020年11月以降、失業者の急増が予想されており、主にスタートアップ企業を対象とした株式投資型クラウドファンディングへの影響の懸念も合併を進める一因になったと思われます。

合併の詳細

では、具体的にどうやって合併するのでしょうか。今回は、利害関係者が裁判所に申し立てをして買収や合併の認可を得る、英国のスキーム・オブ・アレンジメントと呼ばれる制度を利用するそうです。具体的にはCrowdcubeがSeedrsの発行済み株式を買い取る形になりますが、両者の株式は現在の企業価値に基づいて、Crowdcube:Seedrs=6:4の比率で合併会社に引き継がれます。また、スキーム・オブ・アレンジメントでは今までの経営陣が経営権を維持できるので、合併会社の経営チームは両会社の主要メンバーで構成されるそうです。

合併会社の詳細はこれからになりますが、一大株式投資型クラウドファンディングプラットフォームの誕生は、日本市場にも影響してくる可能性があります。日本の一歩先を行くイギリスの株式投資型クラウドファンディング市場、これからどう変わっていくのか、目が離せませんね。

情報元:
英国の二大株式投資型クラウドファンディングCrowdcubeとSeedrsが合併に合意、未公開株式マーケットプレイス最大手に
野村資本市場研究所|英国の株式投資型クラウドファンディング-拡大の背景にある政府・業者の取り組み-

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

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