ニュース 2020.11.30

日本クラウドキャピタルと東急が資本業務提携を発表。その先に目指すものとは

株式会社日本クラウドキャピタルが、東急株式会社とエンジェル投資家を引受先とした第三者割当増資による資金調達および資本業務提携をすることを発表しました。日本クラウドキャピタルは、株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINNO(ファンディーノ)」を運営する会社です。このような提携に至った経緯は、一体どういうものなのでしょうか?

業務提携で目指すもの

鉄軌道事業や不動産事業などを展開する東急株式会社は、長期経営思想の中で “TOKYU2050VISION”「東急ならではの社会価値提供による世界が憧れる街づくり」を掲げています。今回の日本クラウドキャピタルとの業務提携をCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の第一号案件とし、その目標の実現に向けた第一歩を踏み出しました。

CVCとは、事業会社によるベンチャー企業への出資・支援のことです。東急は、CVC活動の中で「City as a Service(CaaS)」構想に基づく新規事業の創出・推進という目的も打ち出しており、当面の出資テーマを「ヘルスケア」「住む・働く・移動」「ソーシャルファイナンス(金銭的リターンだけではなく社会的リターンも追及する金融)」と定めています。この「ソーシャルファイナンス」のテーマ設定の背景とビジョンが合致していたことから、株式投資型クラウドファンディングをけん引する日本クラウドキャピタルが出資先となりました。東急は今回の提携・CVCにより、東急線沿線に関わるスタートアップ企業・地域事業者への投資を進めていき、企業の成長および沿線地域の活性化を図る考えです。

日本クラウドキャピタルとしても、東急の経営資源や強みを活用した共同告知を通し、東急沿線の特色を生かしたクラウドファンディングの実施や、沿線地域の投資家を集められることを見込める、と代表取締役CEOの柴原祐喜氏は話します。また、FUNDINNO利用企業が東急グループの事業との連携を考え、東急による協調投資という流れも期待できます。FUNDINNOでは、厳正な審査により選ばれた将来性のあるベンチャー企業の案件を取り扱っており、サービス開始より3年が経過した現在、累計成約額は40億円、これまでの登録投資家数は48,000人を超えています。東急との連携で生まれた新たな技術・サービスが社会実装されることで、東急線沿線の生活がより豊かなものとなれば、ベンチャー企業のサポートを担う役割として株式投資型クラウドファンディングのさらなる普及も期待できるでしょう。

ベンチャー企業支援のその先へ

東急は以前より、グループ各社・各部門とスタートアップ企業との協業を促す目的で「東急アクセラレートプログラム」というオープンイノベーションプログラムを運営していました。しかし、既存事業を主軸としていたため新たな事業の創出に限界があったことから「未来事業」の創出を目指す社内組織「フューチャー・デザイン・ラボ」が開設され、その中で練られたものが “TOKYU2050VISION”という構想です。東急は“TOKYU2050VISION”の実現を通し、「誰もがフェアに挑戦できて、誰かの挑戦を応援できる世界」を目指しています。社会的課題を解決できるようなアイデアを持っているにも関わらず、資金不足や環境の不備で挑戦を諦めざるを得なかったベンチャー企業にとって、今回の案件のような地域活性化を目指す企業とクラウドファンディングサービスとのタッグは光明とも言えます。

株式投資型クラウドファンディングは、いまやその存在意義を「企業の資金調達方法」とだけでは語れなくなってきています。その先につながる企業の成長とそれに伴う新たな技術・サービス、その結果可能となる豊かな街づくりを視野に入れた投資が、これからのクラウドファンディングのキーワードになりそうです。

情報元:
株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」を運営する株式会社日本クラウドキャピタルが東急株式会社と資本業務提携-PR TIMES
東急がCVCを開始、初案件で「FUNDINNO」運営に出資―投資型クラファンとの提携で、協調投資、相互送客も視野に-BRIDGE
FUNDINNO
株式会社日本クラウドキャピタル
東急株式会社

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

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