ニュース 2020.08.03

初心者必読!STOって何?【基礎編】

STOとは、Security Token Offeringの略で、ブロックチェーンを用いて株などの債券やアート、不動産などの現物資産をトークン化することを指します。国によって法律も違うため、厳密には世界共通のSTOに対する定義はありません。
日本の場合、基本的には金融商品取引法の規制を受けることになりますが、なにを原資産にするかによっては、不動産特定共同事業法や他の法律の規制を受ける場合もあります。

既存の資金調達手段や投資商品と比べどの様なメリットがあるかというと、ブロックチェーンを利用することにより既存の証券化スキームより低コストで行えることや投資家間での二次流通市場での流動性の向上、分散金融の面などからさまざまな期待が抱かれています。

事業者側のメリットとしては、低コストでの資金調達と話題性、ブロックチェーンとスマートコントラクトを組み合わせることにより既存の金融商品にはなかった新しい商品設計が可能な点や所有権の細分化が可能な点などがあげられます。

投資家側のメリットとしては、投資選択肢の多様化(今まで存在しなかった多様な商品設計の投資商品が増えることなど)安全性の高さ、24時間365日取引可能な点と即時決済性の向上や既存の投資商品より少額から投資しやすい点などがあげられます。

理論上は資産性のあるほとんどの物がトークン化出来ると言われており、今まで一般的には投資商品にはならなかったものもトークン化することで二次流通市場の形成ができるのではないかと各業界から注目されています。

例えば、不動産市場を見てみるとREITなどの不動産証券化市場では数十億~数百億円単位の都心のオフィスビルなどが多く入っていました。これは不動産収益の安定性の観点から大型物件が選ばれていたこともありますが、数千万~数億円程度の物件を証券化しようとすると証券化する際のコストと期待できるリターンを考えたとき投資商品としての魅力が損なわれる可能性があることも一因となります。

通常不動産を証券化しようとした場合、投資家が投資するまでの間に多くの人が係わっていますが、STOの場合には中間業者を少なくすることが可能になると言われています。

(引用元:国土交通省土地・建設産業局ウェブサイト)

国内でも不動産STOに関する取り組みが始まっており、マリオンのi-BondbitREALTYのローンファンドなどはすでに発行されています。

この他にも、フィンテックアセットマネージメント×デロイトトーマツコンサルティング×クニエによるセキュリティトークンを用いた不動産証券化の実証実験やLIFULLの空き家の利活用などへの投資における不動産セキュリティトークン発行スキームの実証実験が行われています。

(引用元: LIFULLホームページ)

国内のSTO概況を見てみると、法整備面では昨年5月に改正金融商品取引法が成立し、今年5月1日に施行されました。その中の内閣府令で定めるとなっていた部分に関しても、今年1月に内閣府令案が発表され、金融庁でパブリックコメントの募集が行われ同年4月に募集したコメントに対する回答が公表されるなど、国内のSTOに関する法整備も進んでいます。

民間では2019年10月に日本STO協会が大手証券5社により立ち上げられ、翌20年5月に金融庁から認定され認定金融商品取企業協会になりました。

これにより、国内STOに関する認定自主規制団体となり自主規制規則の制定に動いています。すでに電子記録移転権利の発行市場を担う基幹システムガイドライン(STOプラットフォームに関するガイドライン)が発表されています。

またSBI含む複数の証券会社で2020年中にSTOを扱う私設取引所(PTS)を開設する方針との発表もありました。これが実現すれば国内初のSTO取引所が開設されることになり日本人のSTO市場への参加を促すことに繋がると考えられます。

上記の様な大企業によるSTOの他にも、あまり表に出てきていませんが小規模のSTOも複数行われています。

例えばレヴィアスのSTOプラットフォームJ-STOを使用した、セキュリティトークンを用いた太陽光ファンドやブロックチェーンを利用した有償型ストックオプション(J-STO SO)この他にレヴィアス自身も株式型セキュリティトークンを用いた第三者割当増資による資金調達を成功させています。この他にも小規模STOが複数計画されており私募市場、公募市場を問わず国内でのSTO案件数は増加していくものと考えられます。このことから2020年から2021年にかけて国内STO市場が構築されつつあることが分かります。さらに市場規模拡大と法整備の明確化によって国内STO市場が大きく発展して行くと考えられています。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

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