ニュース 2020.08.03

いまさら聞けない「クラウドファンディング」とは?

「クラウドファンディング」(crowd funding)は、事業者がインターネット経由で事業資金を集める、新しいタイプの資金調達方法です。
個人事業主や起業したばかりの経営者などの新規事業者は、お金が足りず新しいサービスやアイデアを実現できないことがあります。クラウドファンディングは、これまでの資金調達方法にはない手段で、これらのサービスやアイデアの実現を促進する資金調達方法です。

なぜクラウドファンディングが必要になったのか

クラウドファンディングの仕組みを理解するには、なぜ新規事業者にとって、従来の資金調達方法が使いにくいのかを知っておいたほうがよいでしょう。

資金調達では、金融機関からの融資が最も身近な方法と言えます。しかし金融機関の融資は、事業者に信用がなければ受けられません。また、融資を受けられる場合でも、担保を差し出したり高い金利を負担したりと、新たにビジネスやサービスを始める事業者には簡単に利用できない場合があります。

投資家から出資を募る資金調達方法もありますが、これは新規事業者にとって、金融機関からの融資より難易度が高いでしょう。

クラウドファンディングの方法

クラウドファンディングでは、クラウドファンディング・サービスを提供する業者(以下、クラウドファンディング業者)の存在が重要になってきます。

クラウドファンディング業者は、専用のサイトを開設し、事業資金を必要としている新規事業者たちを募集します。専用サイトには、1)誰が、2)どういった事業をしようとしていて、3)いくらを、4)いつまでに集めたいと希望しているのかを掲載します。

そのサイトを見た資金提供者が、お金を出します。1人の資金提供者が提供するお金で足りない場合は複数の資金提供者を集めます。

資金提供者がお金を出す方法にはいくつかありますが、主な方法として、寄付や新製品の購入、小規模融資などがあります。それぞれのポイントについて以下でご説明します。

クラウドファンディングにおける寄付とは

クラウドファンディングにおける寄付には、「慈善事業ではない寄付」といった性質があります。

見返りを求めない資金提供という点では通常の寄付と同じですが、ビジネス性があることが特徴です。

例えば、ある法人が発展途上国の支援をメインにした新規事業を立ち上げたとします。このようなケースでは、新規事業で収益をあげるのは難しく、法人は長期間にわたって自己資金を取り崩して支援を続けることになります。

その一方で、発展途上国支援という社会的な意義を得ることができます。

このようにクラウドファンディングを使った寄付を利用すれば、法人も資金提供者も支援を少しずつ事業に変えていくことに違和感を持たずに済みます。

クラウドファンディングにおける新製品の購入とは

例えば、新規事業者がすでに新製品を作っていて、それを量産化するための資金を必要としていたとき、新製品の購入でのクラウドファンディングが有効です。

試作品に近いような新製品であっても、「商品を売り買いする」点において、普通の商売と同じです。

新製品購入タイプのクラウドファンディングでは、資金提供者は「大化け」するかもしれない新製品を安く購入できるメリットがあります。

クラウドファンディングにおける小規模融資とは

クラウドファンディングにも融資があります。通常の融資と同じように利子を設定することで資金提供者はリターンを得ることができます。

では、通常の融資と何が異なるのかというと、リスクの大きさです。クラウドファンディングにおける融資は、よりリスクが大きくなります。

そして、資金提供者が、新規事業者に代わって大きなリスクを取るところにクラウドファンディングの意義があります。

クラウドファンディングでは、資金提供者の「新規事業者を応援したい気持ち」が重要になります。

資金提供者は、資金回収できる見込みが薄い新規事業にあえて融資することで「応援したい気持ち」を表すわけです。

したがってクラウドファンディングでの融資額は、それほど大きくはならないのが一般的です。

法的な問題をどのように解決しているのか

クラウドファンディング業者の多くは、2010年以降に誕生しています。つまりクラウドファンディングは「比較的新しいサービス」と言えます。

なぜ最近までクラウドファンディング・サービスがなかったのかというと、出資法などの規制があったからです。例えば出資法では、不特定かつ多数の人に対し、出資の払い戻しとして元本を保証して資金を受け入れることを禁じています。

クラウドファンディングが出資法などに違反しないのは、2014年に金融商品取引法が改正され、1人50万円まで出資が可能になり、事業者側は総額1億円未満の資金を調達できるようになったからです。

資金提供者にもリスクがある

クラウドファンディングにお金を投じようと考えている方は、過度な期待は禁物と言えます。

資金提供者にとってクラウドファンディングへの投資は、ハイリスクローリターンとも言えます。「新規事業者を応援したい気持ち」があるかどうかが重要なポイントです。

まとめ

クラウドファンディングを使って、飲食店の開業資金や本の出版費用を集めることができます。しかし、普通の飲食店や普通の原稿では、いくらクラウドファンディングでも、お金を集めることは難しいでしょう。

つまりクラウドファンディングでは、資金提供者を「あっ」と驚かせる何かが必要になります。

そして資金提供者のなかには、余裕資金を普通の投資に回すだけでなく、社会貢献に使いたいと考える人もいます。そのような資金提供者は、クラウドファンディングにお金を出すことで将来性や夢に投資することができます。

クラウドファンディングは、新規事業者も資金提供者も幸せにする仕組みと言えるかもしれません。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

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