株式型クラウドファンディングは、企業が資金調達する新しい方法の1つです。クラウドファンディングには他の種類もありますが、株式型にはどのような特徴やメリットがあるのでしょうか。
本記事では投資家と企業それぞれの観点で、株式型クラウドファンディングについて解説していきます。
株式型クラウドファンディングとは何か
はじめに株式型クラウドファンディングとは何か、投資家と企業それぞれの視点から解説していきます。
株式型クラウドファンディングは、有望な非上場企業に投資できる方法
株式型クラウドファンディングは、インターネットを活用して将来有望な企業へ投資できる有力な方法です。
日本には数多くの株式会社がありますが、その多くは証券取引所に上場していません。このため証券会社で売買できず、一般市民が投資することは難しい存在でした。
これら上場していない企業(非上場企業)の株式は、株式型クラウドファンディングの運営会社が間に入ることで、個人投資家でも投資できます。ベンチャー企業などを資金面から支援する有効な方法です。
非上場企業でも、一般の投資家から資金を調達できる
非上場企業の主な資金調達手段は以下のとおりであり、課題の1つとなっています。
・身内や関係者からの出資
・エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの出資
・金融機関からの融資
いずれも、少数の方もしくは特定の機関からまとまった資金を出資・融資してもらう方法です。たとえ社会的意義がある事業でも、特定の方の意に沿わなければ資金の調達を断られるデメリットがあります。加えて融資の場合は、利息をつけて返済しなければなりません。
株式型クラウドファンディングは上記と異なり、多数の方から出資を受けられる方法です。特定の投資家や金融機関の意向に左右されず、事業に賛同する方が多ければ資金を集められる点が魅力です。
他の種類との比較
クラウドファンディングには株式型の他に、融資型、購入型、寄付型があります。それぞれの違いを以下の表で示しました。
株式型は融資型とは異なり、集めた資金を返済する必要がなく、事業の運転資金として活用できます。一方で投資家は、出資という形で企業を長く支援できることが特徴です。
株式型クラウドファンディングのメリット
ここからは株式型クラウドファンディングのメリットを投資家と企業それぞれの視点から解説します。
投資家側:4つのメリット
投資家のメリットには、以下の4点があげられます。
・応援したい企業が非上場企業でも投資できる
・投資先企業の情報が定期的に提供される
・事業が成功し上場すると、多額の利益を得られる可能性がある
・出資や売却した年に、税の優遇が受けられる(エンジェル税制)場合がある
このように「投資先企業の成長を期待し、成功した場合は富を分かち合える」ことが主なメリットとなります。エンジェル税制の対象なら減税になることも、メリットといえるでしょう。
企業側:3つのメリット
一方で企業側のメリットには、以下の3点があげられます。
・多くの投資家から資金を集められ、企業のファンになってもらえる
・融資と異なり、返済の必要がない
・特定の出資者や金融機関の意向に左右されにくい
このように安定した事業運営に役立つことは、大きなメリットにあげられます。
株式型クラウドファンディングのデメリットや注意点
株式型クラウドファンディングには、デメリットや注意すべき点もあります。投資家と企業それぞれの観点で解説していきましょう。
投資家側のデメリットや注意点
投資家側には、以下のデメリットや注意点があります。
・株が値上がり・値下がりしても、自由に換金できない
・1つの企業への出資額は、年間で50万円まで
特に会社の業績が大きく悪化しても換金できず、投資した全額を損する可能性があることに注意が必要です。
企業側のデメリットや注意点
一方で企業側のデメリットや注意点は、以下のとおりです。
・年間で1億円未満しか集められない
・手数料が高い場合がある
このため、多額の資金調達には不向きです。また集めた金額の15~20%を手数料として、運営会社から請求される場合があることにも注意が必要です。
まとめ
株式型クラウドファンディングは大口の投資家や金融機関に頼らずに、多くの投資家から資金を調達できる有力な方法です。個人投資家にとっても、企業の成長を支援する手段として有効です。双方にメリットがあるため、今後の活用が期待されます。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。